【伸張反射】骨格ポジション・トレーニング

骨格ポジションの重要性については、これまでに執筆してきた書籍でも述べてきました。ですが、文章では表せないことがたくさんあります。ひとそれぞれに体の状態が違いますから、当然、骨格ポジションの状態もひとそれぞれです。当院では、来院された方の骨格ポジションの状態に必要なトレーニングを指導しています。

院長:中村考宏

柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。2020年三重県桑名市多度町にえにし治療院を開院。股割り歴20年、MATAWARI JAPAN 代表。パーソナルトレーニング。著書「骨盤おこし」で体が目覚める(春秋社)、趾でカラダが変わる(日貿出版社)、他多数。メディア「anan」「クロワッサン」「Tarzan」などで「骨盤おこし」「足指」を紹介。NHKテレビでコロナ禍の運動不足解消エクササイズを紹介。プロフィール詳細

体の構造に即し人が本来持っている動きを取り戻すためのトレーニング

これまでのトレーニングは「筋肉を伸ばす」「筋肉に負荷をかける」アプローチをして「筋肉をやわらかくする」「筋肉を強くする」、それが「動く体をつくる」考え方でした。しかし、「動く」というのは「筋肉」だけでは説明できません。まずは、根本からトレーニングの考え方を整理することが必要です。私はヒトの運動を見ています。ヒトが動くということは重心が移動することであり、それが円滑におこなわれているか、そうでないかが問題になります。重心移動を見ることで骨、関節、筋肉、感覚器などの限られた器官だけでなく、総合的にヒトの体を評価することが可能になります。そしてこの重心移動は、「筋肉」だけでも「骨」だけでも円滑におこなうことは出来ません。ヒトは重力下で動くことが宿命づけられています。もし、この環境から逃れるとしたら宇宙船に乗って宇宙へ飛び出さなければなりません。ですが、宇宙飛行士は宇宙へ行っても毎日のように体を動かしてトレーニングをします。ヒトにとって重力は良くも悪くも運命共同体なのです。この重力に対して、打ち克つべきものと考えて筋肉を鍛える人がいます。しかし、この方法では、やがて疲れ果て重力に押し潰されてしまう可能性があります。重力は受け止めるもの。骨を垂直に立てれば重力を貫くことができるのです。脛の骨を垂直に立てて上から圧してみて下さい。骨は長軸方向に働く力にはめっぽう強いことがおわかり頂けると思います。しかし、骨を傾けた状態で力がかかるといたってもろく、また不安定になるのです。私は、ヒトは重力に沿って生きていくものだと考えています。

円滑な重心移動によって動く体

運動とは重心が移動することです。そして、骨は体を支え、筋肉は骨格を調整し、関節は重心を運ぶ。これが本来のそれぞれの器官の役割なのです。ご存知の通り、骨格筋の収縮が適切に起こることによって、呼吸したり、歩いたり、走ったり、姿勢を維持したりというような比較的大きな運動から、言語、表情、細かな手の動作などの複雑な運動までも可能となっています。しかし、一般的なスポーツをおこなう際は、人々は各器官のそれぞれの役割を筋肉に肩代わりさせており、骨格筋の収縮が適切に起こっていません。筋肉で体を支え、筋肉で骨格を調整し、筋肉で四肢を動かしていると、本来の役割分担が実行されない組織は動きにくく、また壊れやすくなります。「動く体」というのは、「円滑な重心移動によって動く体」ということです。

  • 骨は体を支える役割
  • 筋肉は骨格を調整する役割
  • 関節は重心を運ぶ役割

円滑な重心移動で動ける体をつくる

骨格ポジション・トレーニングは、いまより楽に動ける体になることと同時に、本当の意味で動ける体の実現をめざします。ここでいう「動ける体」とは「円滑な重心移動によって動く体」ということです。重心の円滑な移動は、「本来あるべき骨格ポジション」によってもたらされます。運動とは、重心の移動である、ということを述べました。ここで「重心」についてですが、それは、「物体の各部に働く重力をただ一つの力で代表させるとき、それが作用する点」と定義することができます。人間の運動は筋肉運動エネルギーがすべてではありません。筋肉ばかりで運動をおこなってしまうと、筋肉運動に任せ切ってしまった結果→筋疲労→関節可動域制限→運動能力低下→スポーツ障害・不定愁訴、という悪循環に陥る可能性が高いのです。

各関節が重心を円滑に運ぶことができる骨格ポジションを身に付ける

骨格とは、物事をかたちづくる中心、骨組みという意味です。ヒトの骨格は、体を支え、内臓を保護している固い構造物です。200個余りの骨から成りたち、関節結節・縫合・軟骨結合などによって構成されています。骨格ポジションは、姿勢です。キング・オブ・トレーニングと称されるスクワットでは、「ポジションを見つけた者が勝つ」といわれています。これは、「ヒト本来の骨格ポジションを築けてこそ、より高い動きのパフォーマンスを手に入れる」ということだと思います。200個余りの骨を、ヒトの骨格構造に適した位置に収めることにより、筋肉が本来の役割を果たし、関節が本来の役割を果たす。こうしてはじめて、ヒトが本来持っている動きを取り戻すことができるのです。

関節運動の適切な方向を身に付ける

各関節には、動く方向があります。肘関節や膝関節は反対側には曲がりませんが、そういうことではありません。関節が曲がる方向にも、関節に負担をかけない方向があるということです。これは関節がもっとも力を発揮できる方向といい換えることができます。たとえば、膝関節は歩く、走る、しゃがむなど、日常生活のあらゆる動作に関係している関節です。膝関節は解剖学的には蝶番関節といって、一方向にしか曲がらない関節となっていますが、屈曲伸展のときに、わずかな回旋運動をおこないます。簡単にいうと、曲げたとき少し内側に回って、伸ばすときに外側に回って元の位置に戻るということ。つまり、膝関節には内と外に回る、ちょっとしたふり幅があるわけです。このふり幅の中に、それぞれ動作に適した方向があるのです。しかし、ふり幅があるからこそ、適切ではない方向に回ってしまうことがあります。これは膝を壊す原因にもなっています。

連動伸張反射(脊髄反射)を身に付ける( in-sync stretch reflex )

伸張反射とは「筋肉が伸ばされて、これ以上伸びません!というところまでくると縮もうとする働き」のことです。脚気の検査で膝を叩く大腿四頭筋(膝蓋腱反射)や下腿三頭筋(アキレス腱反射)といった単筋の伸張反射が有名です。しかし複数筋にも伸張反射があるのをご存知でしょうか。体主要筋(大腿四頭筋、下腿三頭筋、ハムストリングス、腸腰筋など)や、複数筋の伸張反射を連動伸張反射( in-sync stretch reflex )といいます。連動伸張反射は、大脳を経由することなく脊髄レベルで起こる刺激に対する無意識的、自動的反応です( in-syncは、同時に協調して、という意味です)。伸張反射を発動させるには、骨格ポジションと関節の運動方向を伸張反射の発動条件をクリアしなければなりません。

骨格ポジションの項目

各骨は力学的に最も強度を発揮するポジションを身に付けます。

  • 頭→顎関節
  • 胸郭→胸鎖関節
  • 上腕骨・鎖骨・肩甲骨→肩鎖関節→肩関節(上腕肩甲関節)
  • 前腕骨(尺骨・橈骨)→腕橈関節
  • 手根骨・中手骨・指骨→MP関節
  • 脊柱
  • 骨盤・大腿骨→股関節→膝関節
  • 脛骨・腓骨→脛腓関節
  • 足根骨→距腿関節(足関節)
  • 中足骨・趾骨→MP関節

ハムテンション( hamstring - tension)ハムストリングスにテンションをかける

テンションとは張り、張力、伸張力のことです。ハムストリングスとは半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋のことです。連動伸張反射( in-sync stretch reflex )のキーワード、それがハムストリングスにテンションをかける「ハムテンション( hamstring - tension)」です。ハムテンションをかけるには、まず骨盤を前傾して起始・停止を話しておくことが大切です。骨盤を後傾すると起始・停止が近づき収縮してしまいます。

ハムテンション( hamstring - tension)の要

次に足関節の背屈、つまり前脛骨筋の収縮力が必要になります。前脛骨筋は下半身の主要筋の中で唯一の収縮筋でハムテンションの留め金となる要です。ハムテンションをかけて連動伸張反射を誘発するには足の接地方法が大切です。フラット接地を心がけてください。

大腰筋の伸張反射

ハムストリングスにテンションをかけることができるようになったら、大腰筋が連動伸張反射で働くようトレーニングをすすめていきます。大腰筋と腸骨筋は「腸腰筋」として働くこと、強いては「体」として働くことが大切です。腸腰筋は深層筋であることから、直接的に筋肉を確認することは難しいでしょう。しかし、「体」として骨格ポジションを確認すれば、容易に「腸腰筋」の状態を把握することができます。

【書籍】骨盤おこしで身体が目覚める(春秋社)

構造動作トレーニング・東京教室

第3日曜日(+前日の土曜日)
運動の質を根本から変える構造動作理論に基づく「骨格ポジションのトレーニング」を指導します。

骨格ポジション・パーソナルトレーニングをご希望の方

当院では、体の不調や故障を改善するための治療、健康増進やパフォーマンスアップのための施術をしています。ひとりひとりに最善のサポートができるようこころがけていますので、症状や気になることをできる限りお知らせください。また、遠方から来院される方や集中的にみてほしい方には個人指導・パーソナルトレーニングをしています。小学生からシニア、アマチュアからプロスポーツ選手までサポートさせていただいています。ご希望に応じて、再発予防、健康増進、パフォーマンスアップのトレーニングを指導しています。トレーニングは、人それぞれ体の状態が違いますので、体の状態に必要な内容を指導しています。当院はコロナ対応で業務をおこなっておりますのでご協力のほどよろしくお願い致します。

*掲載の記事・写真・図表などを無断で複製・転載・転送・配信することは著作権法により禁じられています。著作権はえにし治療院(MATAWARI JAPAN)・ウェブサイト管理人またはその情報提供者に帰属します。