スクワットについては、これまでに執筆してきた書籍でも述べてきました。ですが、文章では表せないことがたくさんあります。ひとそれぞれに体の状態が違いますから、当然、足・膝・股関節の状態もひとそれぞれです。当院では、来院された方の足・膝・股関節の状態に必要なスクワットトレーニングを指導しています。
監修:中村考宏
股割り歴20年。MATAWARI JAPAN 代表。柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。えにし治療院院長。パーソナルトレーニング。【DVD】構造動作トレーニング “股割り”を極める(BABジャパン)、著書「骨盤おこし」で体が目覚める(春秋社)、趾でカラダが変わる(日貿出版社)、しゃがむ力――スクワットで足腰がよみがえる(晶文社)、“動き”のフィジカルトレーニング(春秋社)他多数。メディアUP!−名古屋テレビ【メ〜テレ】で股割り紹介。テレビCM股割り「割る」出演。BABジャパン 月刊秘伝10月号「股割りの秘密」【前編】【後編】。他プロフィール詳細
スクワットの意味をご存知ですか?スクワット( squat )という英語の意味は、「しゃがむ」「うずくまる」「坐る」「地に伏す」「身をひそめる」「他人の土地に無断で居つく」などです。一般にいわれているエクササイズとしてのスクワットは、直立した状態から膝関節の屈曲(まげる)と伸展(のばす)を繰り返します。その時に下半身の大腿四頭筋、下腿三頭筋、大臀筋の筋力アップに効果があるといわれています。トレーニングでおこなうスクワットの意味としては、その動作の様子から、しゃがむ、坐る、などが適切でしょうか?スクワットはシンプルな動作ですので、これまでさまざまなバリエーションが考えられ、健康法やダイエットに効果があるものとして幅広く紹介されています。また、競技の世界を見ると、どれだけの重さを持ち上げれるのかを競うパワーリフティングは、「どれだけスクワットができるかを競うもの」ともいえますし、足腰、脚力をアップするための基礎トレーニングとして取り入れられています。それぞれの領域においてスクワットに取り組む目的は違いますが、「しゃがむ」という動作が多様性を持って表現されているのは、それが「ヒトの基本動作」である由縁だと思います。しかし、多くの方は、スクワットに取り組む以前に「しゃがむ」動作が苦手です。あるいは苦手であることに気づかないまま、スクワットを繰り返しています。「人の基本動作」が苦手である、ということは矛盾しているようですが、それだけ私たちが「ヒト」(生物学的な)から遠ざかっていることを現しているのかもかもしれません。
一般的なスクワットは、下半身の大腿四頭筋、下腿三頭筋、大臀筋などの筋力アップ、筋肥大に大きな効果があるといわれています。これらの筋肉は伸筋で主にしゃがんでから立ち上がるときに作用する筋肉です。つまり、一般的なスクワットは「しゃがむ動作」のトレーニングというより「立ち上がる動作」に負荷をかけるトレーニングだという印象が強いです。
えにし治療院で指導しているスクワットは「スクワット( squat =しゃがむ)」動作のトレーニング法です。下半身の大腿四頭筋、下腿三頭筋、大臀筋などの伸筋は、フル・スクワットで体幹の重さを受け取って、反射的に収縮(脊髄反射)するようにし、必要以上に筋力アップ、筋肥大しないように注意します。
スクワット( squat =しゃがむ)動作のトレーニングは、重力を正しく受ける姿勢から、低い姿勢に変化する練習です。さらにフル・スクワットでは、重力に任せて落下するようなイメージで姿勢に変化することを修得します。しゃがむ動作では、立位姿勢から重力の下方向へ股関節、膝関節、足関節を深く曲げて低い姿勢へ変化します。このときに作用する筋肉は、腸腰筋、ハムストリングス、前脛骨筋などの足関節背屈筋、足の指の屈筋などです。腸腰筋は股関節、ハムストリングスは膝関節、前脛骨筋などは足関節を深く屈曲します。足の指の屈筋で長趾屈筋や長母趾屈筋などは接地を安定させるため趾節間関節の軽度屈曲を調節します。
スクワット( squat )とは、重力に任せて落下し、しゃがみます。下半身の大臀筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などの伸筋は、フル・スクワットになったとき体幹の重さを受け取り、反射的に収縮(脊髄反射)することで股関節、膝関節、足関節を伸展させます。スクワットは、反射的に(脊髄反射)立ち上がるための練習です。
骨格筋と腱には、筋肉の収縮に伴う筋と腱の長さや張力の変化を感知する筋紡錘や腱紡錘と呼ばれるセンサーがあります。筋肉が瞬間的に引き伸ばされると筋紡錘から脊髄へ信号が送られます。すると脊髄から筋肉を収縮させる信号が出され、結果として筋肉が反射的に(つまり意思とは関係なく)収縮するのです。これを脊髄反射、伸張反射と呼んでいます。筋紡錘や腱紡錘のセンサーは筋の長さを一定に保つためのフィードバック信号としての働きを持ちます。このような自動制御メカニズムは姿勢を保つ、関節の位置を保つなどの重要です。私たちは手足をを動かして運動したり移動したりしますが、これは骨格に付着している骨格筋の収縮によっておこなわれています。脊髄反射は、随意運動と比べ三倍近く速いことが知られています。随意運動とは、意識をして体を動かす(筋肉を収縮させる)うんどうのことです。ヒトが瞬間的に力を発揮する仕組みには、この脊髄反射が組み込まれています。それは、ヒトが外部環境の脅威から身を守るための生理的反応として、本能的に発動するものなのでしょう。
フル・スクワットで股関節、膝関節、足関節が深く屈曲すると下半身の大臀筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などの伸筋は伸張します。この伸張した伸筋が収縮することで立ち上がるための力になります(脊髄反射)。しゃがむ動作ができない、苦手という場合、各関節の深い屈曲ができないために伸筋が十分に伸張しません。そうすると、意識的に立ち上がらなくてはなりません。わざわざ、よっこらしょ、と踏ん張って立ち上がる。そのように膝を伸展させるためには大腿四頭筋を収縮させなければならないのです(随意運動)。スクワット運動をするときの姿勢は重心がお腹辺りにあります。スクワット運動で体に働く力は、脊髄反射で働く筋力以外に、重心に働く力(重力、慣性力)と足底に働く力(筋力、反作用力、摩擦力)があります。きちんとしゃがむことができれば、これらの力を効率よく使うことができ、無理なく自然に立ち上がることができるのです。
機能的肢位は、重力を正しく受けるための姿勢です。両大腿骨を垂直に立てて足の裏全体で接地し、両上腕骨を体側に添って垂直に垂らし、鼻から空気を大きく吸い込むことができる頭の位置で立ちます。そして、一歩目を滑らかに踏み出せる姿勢が機能的肢位ということになります。機能的肢位は、「安定」していて、「強い」こと、そして、「直ちに次の動作へ移ることができる」状態にある姿勢です。フル・スクワット動作には必要不可欠な姿勢です。
重力下で人が姿勢を保持するときには、支持基底面の広さ、重心の位置、質量の大きさ、床と接触面の摩擦抵抗、構造物の分節性、心理的・生理学的要因など、さまざまな要因が安定性に影響を及ぼします。このような影響下で姿勢の平衡状態を維持しようとする性質を安定性といいます。
骨の役割は、体を支える(姿勢保持)、運動の支点、内臓器の保護、無機塩類の貯蔵、造血などです。成人の骨格は、体幹骨と四肢骨をあわせて200個以上の骨から成ります。骨は形によって、長管骨、短骨、扁平骨、不規則骨に分けられます。これら数多くの形の異なる骨によって骨格を構成します。骨格は、人体の各部に重力が働きますので、骨の素材がもつ強度をを十分に発揮できる位置が欠かせません。
直ちに次の動作へ移ることができる姿勢は、体の関節や筋肉がいつでも動き出し可能な状態にあります。骨格筋は起始停止部が整っていて、一気に収縮して力を発揮できる状態、関節は各関節それぞれの運動自由度を滑らかに可動することができる骨格の位置にある状態がいつでも動き出し可能な状態であるといえます。
しゃがめばスッキリ!炊事・洗濯・掃除―日常生活のあらゆる場面でかつては必要不可欠だった動作を「スクワット」を通して取り戻す。筋肉に頼らず行える「らくらくエクササイズ」を多数紹介。極意は「落ちる」こと。
第3日曜日(+前日の土曜日)
運動の質を根本から変える構造動作理論に基づく「スクワットトレーニング」を指導します。
当院では、体の不調や障害を改善する治療や、健康増進、パフォーマンス向上のための施術を行っています。一人一人に最適なサポートを心がけておりますので、症状や気になることがあれば、どうぞお気軽にお知らせください。遠方からの来院者や集中的なケアを希望される方のために、個別指導やパーソナルトレーニング、股関節覚醒コースも用意しています。小学生からシニア、アマチュアからプロのスポーツ選手まで幅広くサポートしております。再発防止、健康増進、パフォーマンス向上のトレーニングもご希望に応じて指導しています。トレーニング内容は、個々の体の状態に合わせてカスタマイズしております。どうぞよろしくお願いします。
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