感覚を拾う

深部感覚を拾う

深部感覚を入力する際に「感覚を拾う」という表現を使っています。感覚を拾うということは違いを自分で感じることです。

例えば、脛の骨(脛骨)の垂直方向を入力するとします。そのとき、目や手足の感覚器を通して脛の骨(脛骨)の垂直位置を探りだし、声に出して3カウント数え、その新たな位置を脳に上書きしていきます。そうして垂直位置を探るとき、目で見て、手で感じて、足で感じて、これらの情報を総合的に処理し脛の骨(脛骨)を描き出していきます。そのときの外部環境には人、音、光、臭い、風、温度、湿度などさまざまな刺激があります。また、思考も人それぞれであり、外部および内部には数多くの刺激があるわけです。この中から深部感覚に関する刺激を選択していきたい。そのため多くの中から必要なものを選び取るという意味として「感覚を拾う」という表現を用いています。

深部感覚のアプローチは外部環境ではなく、内部環境の「あるもの」と「ないもの」を見ていきます。具体的には三つのポイントとなる深部感覚の「位置覚」「運動覚」「重量覚」が「ある」/「ない」を見ていく。しかし、神経麻痺でもない限り深部感覚が「ない」ということはなく、多くは「鈍い」感覚に対してのアプローチをすることになります。脛の骨(脛骨)の垂直位置は、手応え(手の触覚・圧覚、位置覚、抵抗覚)、踏み応え(足の裏の触覚・圧覚、位置覚、重量覚)で知ることができます。その際に数ある刺激の中からそれらの「感覚を拾う」というのがエクササイズの中核になります。

脛の骨(脛骨)の垂直位置を入力後、感覚を拾えているのかを確認することができます。その方法は、立ってみて(立位)、両足の違いを感じてみるということ。シンプルです。深部感覚を入力した足が軽い、接地がやわらかいなどの変化を感じることができたら、感覚を拾うことができて、脛の骨(脛骨)の垂直位置が入力されたということになります。
逆に変化を感じられないときは、感覚を拾えていない、あるいは何をすべきなのかきちんと理解できていない、などの理由が考えられます。しかし、感覚は人それぞれ、効果も人それぞれです。まずは効果を引き出せるように左右の違いを感じ取ることが大切になります。

感覚の鈍いものが、まっすぐ感を得られるのか? という疑問が起こるかもしれません。

何で感じ取ることができるというのかというと「手応え」なのです。たとえば、手元のボールペンの端に人差し指を添えて机の上に垂直に立たせてみてください。そのとき垂直に立った長軸方向への「手応え」はしっかりと感じ取れるはずです。机の面と接触するボールペンの先の感じもわかるのではないでしょうか。それに視覚が加わればさらに「手応え」を感じることが容易なります。

おそらくこれらは、表在感覚の触覚、圧覚、深部感覚の抵抗覚などが関係しているのだろうと思います。表在感覚(皮膚感覚)の触覚と圧覚は、皮膚の表面に触れたとき、あるいは圧迫や牽引によって皮膚が変形する刺激によっておこる感覚です。深部感覚の抵抗覚は、物体を押してその硬さがわかる感覚、また自分のカラダに力がかかっていることを感じ取る感覚です。

机の上にボールペンを垂直に立てるのと同様、脛という棒(脛骨)を床に対して垂直に立てることをくり返します。手の触覚・圧覚・抵抗覚・目の視覚から脛骨の垂直位置情報を拾い、長軸方向へ重さをかけ続ける。その積み重ねは深部感覚(位置覚、重量覚)を厚くし、さらにその「存在」を実証しするのです。

 

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