深部感覚とは

深部感覚とは(固有感覚)

深部感覚メソッドは、「無」から「有」の創造です

ここでいう「無」とは、実体のある「無」、すなわち、現実に即した「無」、何も無いという現実です。「無」と「有」は、双方とも現実に即しており、カラダの世界に実在するリアルなのです。一方で「意識」というのは、実体のある「無」の世界には存在していません。たとえば、ある機能が故障してしまった、あるいは機能が無い状態に対して「意識」は届きません。すなわち、「無」が「無意識」なのではないのです。「無意識」というのは、機能が「有る」状態での意識なのです。現代病といわれるものの中には、このリアルの「無」に近い状態が潜んでいます。ある機能が故障しているのなら治さなければいけませんし、感覚が鈍く機能回復が望めなければ「意識」も「無意識」もそこにはおよびません。つまり、「無意識」だと思っていることは、本当は「無」で、「意識」しようと思っても「意識」に上がらない状態にある、ということです。これこそが深部感覚メソッドが目指すリハビリトレーニングの真骨頂なのです!

深部感覚はすべての人の中にある 

しかし、自分以外がそれを拾うことはできない。この広い世界の中で、あなただけがそれを拾うことができる。そして「感覚を拾う」ということが、このメソッドのすべてなのだ。これまで「いつか誰か/何かが自分を変えてくれる」と、変えてくれる誰か/何かを探し続けてきた方も多いのではないのだろうか。あなたはこの先もその誰か/何かを探し続けるのだろうか。それとも、自分の中にいる自分=見えない深部感覚の世界から、自分自身の姿をすくい上げる道を選ぶのだろうか。くり返しになるが、あなた以外の人があなたの深部感覚を「拾う」ことはできない。ついに、あなた自身の中に眠る深部感覚の世界を開く時がきたのだ。

深部感覚(固有感覚)

私たちのカラダには環境(外部環境、内部環境)の変化を認識するために感覚が備わっています。感覚としては、古来からの分類にある視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感が広く知られています。また、現在知られている感覚には、体性感覚(表在)感覚、深部感覚)、内臓感覚、特殊感覚(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、平衡感覚)などがあります。感覚は、カラダの外部または内部の変化を感覚器(眼、耳、皮膚、舌、鼻など)の受容器で感受し、その興奮が感覚神経、中枢神経(求心路)、大脳皮質の感覚中枢に伝えられ、引き起こされます。また、これらの情報をもとにカラダの外部または内部の環境の状態を知ることを「知覚」といいます。知覚には個人差があります。それは感覚情報に個人の解釈や判断、経験、カラダの機能状態などが加わるためだと考えています。

深部感覚とは、皮膚や粘膜の表面ではなく、それより深部に存在する筋・腱・関節・骨膜などにある受容器によって起る感覚で固有感覚ともいわれています。位置覚(カラダの各パーツの位置)、運動覚(関節運動の方向・運動の状態)、重量覚(重力の大きさ)などを感知する感覚です。人は深部感覚によって、眼を閉じていても手の位置や曲がりぐあい、その動きを感じることができます。
実はもっとも身近な感覚でありながら、しかし私たちの意識にほぼ上らない感覚です。つまり、深部感覚は「無意識」の感覚ともいえます。

深部感覚メソッドは、以下の3つの感覚にアプローチします。

位置覚
 位置覚は四肢やカラダの各部の位置関係がわかる感覚です。この感覚があることで自分のカラダがどこからどこまでなのかがわかります。逆にこの感覚がないと自分のカラダがどこからどこまでなのかがわかりません。この感覚が鈍いとカラダのどのパーツを動かせばよいのか不明瞭で雑な動きになります。つまり、自分のカラダという存在を形づくる上で基礎となる感覚といえるでしょう。
運動覚
運動覚は関節運動の方向や運動の状態がわかる感覚です。この感覚があることで立って、歩いて、走ることができます。この感覚がないと運動の状態がわからないから、関節の可動範囲を越えていたとしても、足の裏でなく足の甲で接地していたとしても、それに気づかずカラダを壊す恐れがあります。つまり、自分の外部または内部の情報を知る上で動くということの基礎となる感覚といえるでしょう。
重量覚
重量覚は物体を持ってその重さがわかる感覚です。それは重さの違いがわかるということでもある。また、自分の重さを知る感覚であり、重力を無理なく受けて、衝撃を和らげるために圧を分散した接地を知る上でも重要です。この感覚が鈍いと雑な接地で圧を集中させていてもカラダにダメージを蓄積していることに気づかないので、カラダを壊す恐れがあります。つまり、ヒトが重力下という環境で生きる上で、重力の大きさを知る基礎となる感覚といえるでしょう。

 

 

深部感覚とは記事一覧

感覚を拾う

深部感覚を入力する際に「感覚を拾う」という表現を使っています。感覚を拾うということは違いを自分で感じることです。例えば、脛の骨(脛骨)の垂直方向を入力するとします。そのとき、目や手足の感覚器を通して脛の骨(脛骨)の垂直位置を探りだし、声に出して3カウント数え、その新たな位置を脳に上書きしていきます。...

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重力を正しく受ける

深部感覚ルーティーンでは、重力を無理なく受けることができる骨格ポジションを脳に上書きして骨の位置を記憶します。骨格ポジションを決定するには、「骨でカラダを支える」ことができるポジションへ、骨の形や位置を手触り、手応えなどの感覚を総合します。たとえば、長管骨(四肢を構成する長い形状の骨。大腿骨や上腕骨...

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深部感覚のズレ

人間は、自分になくて他人にあるものはよく見えます。日常的におこなっているので、視覚を通して外部の情報を得る感覚は厚いといえます(外部の刺激)。しかし、日常的にほとんどおこなうことがないので、深部感覚を通して情報を得ることは鈍いでしょう(内部の刺激)。同様に、頭で考えることは得意ですが、カラダで考える...

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深部感覚のポイント

重心位置の決定はどのようにするのか?股関節の位置の説明方法は?足関節のアクセルとブレーキの運動方向は?肘頭と体幹の関係は?五感が機能的に働くポジションは?腕橈関節の働きと確認方法は?坐骨結節の確認の方法と定位置は?深部感覚クイックルーティーンの目的は?重力を正しく受ける方法とは?頭のセッティングで「...

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[書籍]本当に動く体になる!骨格ポジショニング(Gakken sports books)
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