病院と治療院のリハビリ

病院と治療院のリハビリ

筋膜リリースから深部感覚までの股関節コントロール

先日7年ぶりにお会いした方と昔話に花が咲いた。私が治療業界に入って25年以上になる。今でいう筋膜リリースの手技に魅せられて治療の勉強に励んだ。それは筋や筋膜を摩擦して伸張する治療法。当時、一緒に勉強していた先生方とも未だに付き合いがあるが、皆さん、研究心旺盛で治療方法を進化させている。

治療方法を進化させなければならない理由は完治しない症例があるから。私は15年前に現在(構造動作トレーニング)の運動療法を視野に入れてリハビリに取り組んできている。手技療法一筋できている先生方にとっては新鮮なのだそうだ。

筋肉の治療は原因が筋肉にある場合に有効。15年以上、症例に対して運動療法を施すとともに動きをみてきた。あくまでも私の経験にしかすぎないが、筋骨格系疾患の原因は筋肉にないことの方が多い。これまで筋肉に原因があると考えていた症例は、深部感覚にアプローチすることによって筋硬結が消える。

ある症例について共通の治療方法で検討できることはありがたい。しかし、運動療法の難しいところは、施術者に深部感覚の概念が必要なこと。施術者が理解してないものは、患者に伝えることができないのだ。テクニックと同様に施術者が養っていかなければならない感覚だと思う。

これは、スポーツ選手のフィジカルトレーニングでも同様。「選手が股関節を外旋できるようになるには、どのような方法がよいか?」
と指導者の方から方法について聞かれる。私も方法について聞かれたから、その方法を紹介する。しかし、指導者が知識を得たからといって選手ができるようにならない。まずは、その方法や理論が本当に正しいのか指導者自信が証明できなければ、それはただの伝言ゲームにしか過ぎず実践で使い物にならないのだ。

私も自分の股関節をコントロールすることができるようになるために、ずいぶんと時間を費やしてきているが、これは自分の実力の指標としている。知識として知っていることは紹介することができても、自分ができないことは人に指導できない。股関節のコントロールについても自分の可動範囲内しかわからないから、それ以上のことは、指導といわず想像を伝えるということになる。自分の実力を知る、ということを念頭において業務にあたるよう心掛けている。

損傷後の深部感覚の回復

「深部感覚」へのアプローチは、医療関係者や専門家には馴染みがあっても一般の方にははじめて耳にするようなこと。私は15年前に現在(構造動作トレーニング)の運動療法を視野に入れてリハビリに取り組んできている。実際に深部感覚を意識して運動療法を施すようになったのはその数年後あたりから。

今でこそある程度系統立ててリハビリを組み立てれるようになってはいるが、当時は患者さんもよくわからずに運動療法に励んでくれていた。そして「深部感覚」というキーワードを使うようになってことはスムーズに進むかに思われたが、患者にとっては難しいことだった。

よほど施術者が感覚のメカニズムを理解できていないと患者が理解できず運動療法の趣旨を共有できないのだ。それで、難しい知識は後回しにしてまずは、体が楽になる、動きが軽くなるなど、自分の体がプラス変化だと感じることを重ねることからはじめた。それが、「骨盤おこし」として注目されるようになった。

この夏に「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)を刊行することができて、一般の方にようやく解説できる準備が整った。参考本としてフルカラーの骨格ポジショニング(学研)がある。照らし合わせて読み進めることで理解が深まるのではないかと思う。

さて、筋膜リリースの手技をメインとしている柔道整復師の先生の院を訪問。症例に対する深部感覚へのアプローチの経過と変化について話を伺った。それなりに成果はでてきているものの患者が深部感覚を取り戻すまでにいたらない。

それは、「リハビリ=筋膜リリースの手技」という考え方に問題があった。リハビリは、体に損傷を負った場合に「本来あるべき状態への回復」をおこなわなくてはならない。来院される患者が満足するするリハビリを行うことは大切である。しかし、それは手技によって「痛みが和らいだ」「気持ちよかった」「癒された」などの声にとどまるものではなく、「本来あるべき状態への回復」までを完結しなければならない。

患者が、深部感覚(位置覚、運動覚、重量覚)を体に覚えるまでの運動療法の計画が必要だ。病院の先生でリハビリ室を備えている施設なら運動療法を処方できる流れを作ればよい。しかし、接骨院のような個人の施設だと簡単にいかない。リハビリはベットの上でするものと思い込んでいる先生だと複数台のベットを取り払って運動療法のためのスペース確保がネックになる。

そのような議論を数時間してみて思ったことは、治療やリハビリというものを一時的な除痛に主眼をおいている先生には、患者の深部感覚を回復するということが、かなりハードルが高くなる。再発の原因がこの辺りにあるのではないだろうか。やはり、施術者が深部感覚の概念を備えるということは必要不可欠だ。

今後も先生方とじっくり議論を重ねていきたいと思います。

 

 

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